IEEE Computer 1994年7月号に掲載された Fourteen Ways to Say Nothing with Scientific Visualization の抄訳です。 単に面白いんで訳してみました。あなたにも心あたりはありませんか?

可視化技術に有無を言わせないための14ヶ条

Al Globus, Eric Raible

IEEE Computer, July 1994
可視化技術に身を投じる研究者の中には、画像の美しさより その中身を理解しようと するものがいる。このような行為はやめさせなければならない。

1. 色つきの凡例は出さない

図の美しさを台無しにするばかりでなく、見る人を 現実へそらしてしまう。 (注: きれいに見えるように色の順番を決めよう。よい結果を得るには、 場所によって色の割当を変えるのが良い。)

2. 注釈は入れない

古くさい物理、生物学の分野では、図に矢印と説明書きを 入れたがる。これでは図の分かりやすさを誘導してしまう。

3. 欠点は述べない

すごいと思ってもらえなくなるかもしれない。 何であってもきれいに見えるものは正しいはずだ。

4. 疑わしくばスムージング

平たいアバタがたくさん見えるのはよろしくない。 間違いを隠し出版を早める効果もある。

5. 性能指標は出さない

自分の超並列機で何時間もかかるのとたいして違わないものが 立方体の集合なら数秒で得られるという事実は この際関係ない。

6. コマどりを活用せよ

見かけの性能がグンと上がる。タネを明かさないこと。


残りの法則を忠実に守れば、すでにきれいな画像を製造している (自分の)ソフトウェアのデバッグを避けることができる。

7. データやその分野については学習するな

補間法についてあれこれ悩むより、ad hocなやり方の方が ずっときれいな画像ができる。バグがかっこいい画像を生成する かもしれない。美こそ真実である。

8. 他人の方法と比較しない

バグを発見してしまうかもしれないし、他人の方法 のほうがきれいかもしれないからだ。

9. 可視化システムは使わない

FAST,AVSといったシステムは新しい手法を導入できる。 これを使うことは8条に反するし、 「今まで存在しなかった」ことにもならない。

10. データの出所は明記しない

追試されると、まずい所がばれてしまうかもしれない。

11. 一般性をうたえ、ただし使うデータは一つにせよ

データ一つなら効率的な手抜きが可能だ。 パレットをいじって複数のデータを使っているように見せよう。 10条も励行すること。

12. きたない所は視点でカバー

隠し切れなかったら他のデータで試してみよう。 それでもだめなら、

13. 隠し切れないなら反射や影

影やハイライトがそこにかかるようにしよう。
ただしペイントソフトは絶対に使わないこと。それは科学的でない

14. 「これは容易に三次元に拡張できます。」

プロ以外にはウソだとは分からない。
心配無用。彼らも自分の時は同じことを言っている。


並列計算機の性能のハッタリのかまし方」というのもあるらしい。

Translated by かべ@dais.is.tohoku.ac.jp