▼MZK-WNHにヒートシンクを追加して誤動作を予防▼

[MZK-WNH] ジャンク扱いで投げ売り￥500のPlanexの無線ルーター MZK-WNH を入手しました。動作が不安定などとあまり評判が良くないようですが、内部チップが過熱しがちなのも原因のような気がします。ヒートシンクを追加してみました。 (2012/09)

$Id: heatproblem.html,v 1.12 2013-03-21 21:00:31+09 kabe Exp $

▼まずファームウェアはアップデート

公式ダウンロードページに、ファームウェア1.31 が2011/02 に掲載されています。「無線通信の安定性を向上」ということなので適用しましょう。初期ファームウェアでは、無線チャネルの自動選択ができなかったりと地味に不便です。

公式アップデートで不具合が解消するなら言うことないですね？

アップデートすると挙動不審になる場合は、出荷時リセットをかけるのがいいんじゃないんでしょうか。異ファームウェア間で設定を引き継ぐよう作るのは大変なので、このテの安価な機器では設定は引き継げないと思ったほうがいいでしょう。

▼現状把握

普通に使用していても、プラスチック越しに「なんとなく熱いなぁ」というのは感じます。本記事のような改造をしない場合は、

立てて使用、
通風孔は塞がない、

ことを心がけたほうがよさそう。

さて中を開けて基板を見てみると、なんとワンチップでほぼすべてをまかなってます。中央の Ralink チップが制御マイコン、無線出力、LANのPHYをすべて含んでいるようです。

この状態で電源を入れると…触れないくらいチップは熱くなる！

えー、LANのPHYドライバは何もしなくてもかなり発熱するので、５ポート分のPHYに無線プリアンプに…を押し込めてあるのはかなり熱的に苦しいんじゃないかと…

アンテナは正面側にリトマス試験紙大の小さなものが１つだけ。無線パワーは設定で変えられますが、100%でもそんなに飛びません。部屋２つ分くらいがいいところ？

温度、計ってみましょうか

表面で70℃を越えているのは、かなり心配な状態です。チップ内部では80℃越えでも不思議ありません。いくら組込み用のCPUでも、このくらいになると動作は不安定になるかも…

なお、中を開けるには、ツメをこじ開ける必要があります。ツメ位置の写真を示しますので参考にしてください。

▼ヒートシンク取り付け

チップの大きさは1.5cm角くらいなので、それよりちょっと大きめの後付けヒートシンクを買ってきましょう。 (これは銅に見えますがアルミの銅メッキです)

取付後の温度は58℃程度にはなりました。

何もしないよりははるかに安心ですが、もう少し温度は下げたいところですね。 2cm角程度の大きさでは足らないかも。背も1.5cm程度まではいけるので、これから同様のことをする人は参考にしてください。

▼安定したんですか？

うーん正直よくわからんです。無改造状態で使った時間が短いので…

無線送信パワーがデフォルトの100%だと、夏場ではまだ熱的に耐えられないのか、 WiFi再接続に時間がかかったり管理Webだけ止まったりと挙動不審になります。ワンチップで全部賄ってるので、無理させないほうが良さそう。最小の10%出力に絞っておけばわりと安定します。同じ室内で使う程度なら電波の飛びは思った程変わりません。

▼Appendix: ファームウェアの癖とか

時計の時刻は手動であわせることはできない。NTP参照のみ。
NTPの更新間隔は１分で固定。変更不可。自プロバイダ以外のNTPサーバを参照すると 迷惑になるので使わないこと。
NTPサーバに聞きにいくのを止めたい場合は、NTPサーバ値に 0.0.0.0 を入力する。空欄だと空欄にするなと怒られる
内蔵DHCPが使うDNSサーバの配布値は WAN→DNS設定の設定値が使われるが、アクセスポイントモードだとこの画面にたどり着けない。 http:///wandns.asp に直接アクセスすれば変えられる。
内蔵DHCPが使う DNS→ドメイン名：設定は、ルーターモードでないと値を設定できない。アクセスポイントモードだと何を入れても前の値のまま。
背面スイッチを APからRouter に切り替えると、LAN側のIPアドレスとDHCP設定は工場出荷設定 (192.168.1.1) に強制リセットされる。
「サイトサーベイ」機能は隠されている。 http:///wlsurvey2.asp に直接アクセスすれば見ることはできる。本体のアンテナが小さいせいか、感度が悪くあまり役に立たない。本来は無線コンバータがAPを見つけるための機能。なおこの機能を使うと無線は切れるので、有線で使うこと。
ファームウェアをアップデートすると「ステータス」画面の「現在の時間」が秒まで表示されるようになります
が、これ JavaScriptで表示しているうえ、そもそもこのルーターは電池バックアップされた RTC(時計) は持ってません。 NTPで時計合わせもできますが、電源を切ると 2000/01/01 にリセットされるので、電源を頻繁に切る用途ではあんま意味ないような気が。起動後の時間を示している程度に思ったほうが無難。
「電源を入れ直すと無線接続できることが多い」場合は、無線チャネルの自動選択がうまくいってない可能性もあるので、逆にチャネルを固定してしまうのもあり。 (専用のサイトサーベイツールを使わないと空いてる場所はわかりにくいが)
マニュアルには何も記載はないが、 DNSキャッシュサーバとしても動作する。上流DNSサーバとしては WAN→DNSの設定が使われる。アクセスポイントモードだと設定画面にたどり着けないが、 http:///wandns.asp に直接アクセスすれば変えられる。
ただ、TTLの値を無視して永久にキャッシュしつづけるので、定期的に再起動してやらないと問題になる。 DNSサーバとして使ってはいけない。 (つながらないサイトが出てくる筈。) PC側でDNSサーバ値として本機のアドレスを指定しても動いてしまうので、問題発見が遅れるかも
UPnPは設定で切っても、UPnP通知パケットは出つづける。 20秒毎に ether 01:00:5e:7f:ff:fa dst 239.255.255.250:1900 宛、 untaggedとVLAN 2に対し８個ずつ UDPパケットを出す。パケットキャプチャしてるとうるさくてしょうがない。 WAN側ポートからも垂れ流すのでタチ悪い。
```
NOTIFY * HTTP/1.1
HOST: 239.255.255.250:1900
CACHE-CONTROL: max-age=100
LOCATION: http://192.168.1.1:49152/description.xml
NT: upnp:rootdevice
NTS: ssdp:alive
SERVER: Linux/2.6.21, UPnP/1.0, Portable SDK for UPnP devices/1.3.1
X-User-Agent: redsonic
USN: uuid:28802880-2880-1880-a880-0022cfxxxxxx::upnp:rootdevice
```
なお、UPnP設定は一般設定→NAT→UPnP から行けるが、アクセスポイントモードではたどり着けない。 http:///natupnp.asp に直接アクセスすれば一応変えられる(が効果はない)。

かべ＠sra-tohoku.co.jp