▼PC内蔵スピーカー用 LM386 モノラルアンプの製作▼

Abstract

最近のマザーボードには圧電スピーカーがついており、 筐体側のスピーカーは無用のものになりつつあります。 一方サウンドカードの出力は通常は外部スピーカーを 必要としています。 これはなんとなくくやしいので、内蔵スピーカーのための 簡単なアンプを製作し、内蔵スピーカーからサウンドカード の出力が出せるようにしてみました。

$Id: index.html,v 1.2 1999-10-07 14:49:48+09 kabe Exp $


設計方針

入力ボリューム必須は、回路よりも基板のパッケージングに大きく影響します。

回路図

[回路図]

ごく普通の LM386 を使用したアンプです。

対象サウンドカードが今回は SoundBlaster AWE64 で、TADコネクタはなく、 MB_PROコネクタがあるので、これに合わせてオーディオ信号を取り出しています。 他のサウンドボードでは、マニュアルを見るなり基板を解析するなりして 取り出し方を考えて下さい。

Creative Labs.の製品は、こういう情報が比較的にオープンで 手に入りやすいので普及してるんでわないでしょうか。

この出力はステレオなので、どっかで混合して モノラルにする必要があります。アンプ基板はボリュームつまみの 関係で前面パネルに取り付けるので、ステレオをここまで引くと (自由度は増えますが)配線が増えるので、混合は サウンドカードの近くで行なっています。

MB_PROてのは Modem Blaster Pro のことだと思うんですが、 なぜにモデムにステレオを出す必要があるのかよーわかりません。 モデムからの入力はモノラルになってます。

TADコネクタがあって使用していなければ、ここは大抵モノラルですから、 そこから取り出すのが吉でしょう。

VRの5kΩは手持ち品ですが、抵抗がだいぶ低めです。 ここが低いと入力抵抗が重くなります。 入手するなら10kΩ以上、100kΩくらいがおすすめです。

出力の220μFx2は、手持ちに470μFがなかったからです(かっこわる〜) 他のコンデンサも値が変ですが、手持ちのそれっぽいのをあてがった結果です。

製作

[アンプ基板の写真]

がむばってください(こればっか)

音量ボリュームをどこにつけるかは筐体の形状で変わってきます。 見ためは良くありませんが、筐体の正面化粧板にパネル取り付け型のボリューム をつけた方が楽な場合もあります。

電源コネクタやサウンドボードからの信号取り出しは各自工夫して下さい。

アンプ自体の電源は、素直に電源コネクタから引いてもいいんですが、 配線がゴチャつくのでの前面パネル用冷却ファンのコネクタから取り出しています。 コネクタは買うと高いので安物ICソケットをぶったぎって作ります。 (丸ピンソケットなどの高級品だと基板側のピンが太いので入らない)

MB_PRO取り出しコネクタも安ICソケットの加工品です。必要なのは 3ピンなんですが、基板を安定させるため8ピン分あります。 お金があるなら「スタッキング用10pヘッダプラグ」の方がスマートに できるでしょう。
(MB_PROコネクタは10ピン)

取り付け

一応PCにつなぐ前に動作確認しましょう。

私の場合は、一回目は逆電圧かけてしまったらしくLM386が破裂しました。 (しゅううう、ぱんっ) ICソケットを使ってなかったので交換がめんどくさい

[取付写真]
基板取付のため皮をむかれた筐体

今回は前面ファンの通風孔にφ3ビスで固定します。 前面につく化粧板にはボリュームつまみの対応する場所に穴をあけます。

使用感

全然低音が出ません。 φ50のスピーカーですから多くを望んではいかんのですが。

筐体を組み上げると「プラスチックっぽい音」がします。 前面の化粧板に制振材などを入れる方がいいのかもしれません。 筐体本体は鉄製で、隙間も少ないので、本体側に手を入れる必要はないでしょう。
(音に超こだわる場合を除く<やめなさい)

音がスピーカ前面ではなく、ドライブベイの下の隙間から出てきます。 普通の筐体だと前面ファン用の穴があるんですが、この筐体にはないです。 通音用に穴をあけた方がいいんでしょうかね。

サウンドボード上のアンプ(TPA1517)は片チャンネル6W出ます。 LM386は1W位ですので、大音響が必要なら素直にサウンドボードの SPEAKER ジャックを使いましょう。

再改造

ぜいたくは言わないとはいえ、ちょっと我慢ならんので 低域ブーストをかけることにします。

[LM386 低域ブースト回路]

LM386のアプリケーションノートにも載っている回路で、 1kHz以上を26-7=19dBに押え込みます。==低域7dB up。 いろいろ定数をいじって、ブースト量を上げたりもしてみましたが、 結局この回路にするのが一番素直に聞こえるようです。 (上げすぎるといやらしく聞こえるようになる)

筐体を組みあげて聞いてみると、 後部の予備ファン穴から結構音が出ています。 試しにスピーカをここへ移してみると、プラスチック鳴りや過制動感もなく 結構いい音が出てきます。 よく見てみると後部の方が開口部が多かったりする。

こっちに移そうかなぁ。どうせならφ80スピーカーに変えちまおうか…

スピーカー換装

パーツ屋へスピーカー買い出し。 筐体の後部ファン穴はφ80mm用なので、80mmスピーカーを所望したが、 ないとのこと。取付穴が合いそうなので、ダメもとでφ100mmスピーカー (¥500、防磁型)を購入。

案の定つかない。

木板を買ってきてアダプタを製作して、むりやり取付。

[スピーカーと製作したアダプタ] [φ100スピーカー取付写真]

音質的にはφ50mmとは勝負にならんです。 (へたなラジカセよりいいかもしれん) 低音も十分に出てるので低域ブースト回路は外すことにしました。 後方に向かって開口しているので高音が若干こもりますが、 これ以上を望むなら筐体の大改造になるでしょう。
というわけで筐体附属のφ50スピーカーはジャンク箱行き。

[後部ファン周辺の筐体による違い]
この筐体(下)ではφ100を押し込めることができましたが、 他の筐体では段差が拡張スロットの 高さと同じ位置にあって(上)、φ50しかつかないようなことの方が多そうです。

あとがき

筐体にいいスピーカーをつけるというのは需要がないんでしょうか。 みんな外部スピーカー必須という環境で納得してるんでしょうか?

音にこだわった本体はパイオニアのMac互換機位しかなかったようですし。

参考文献


kabe@sra-tohoku.co.jp